プロジェクトを活性化させる創造的な会議の進め方

 

普段行われている会議もワークショップ形式を行うことをお勧めする。
ワークショップといえば、大人数が集まり何チームかに分かれて様々なツールを使って、かなり大規模なイメージをお持ちの方も多いことと思う。普段行われている会議やミーティングもワークショップ形式で行えば、創造的な会議の場を作ることができる。

プロジェクトを実施するためには、様々な調整を経てキックオフミーティングという運びになる。
プロジェクト実行中も何度も会議やミーティングを繰り返すこととなる。

今回は、実りのある会議、ない会議について考えてみよう。
結論から言うと、全員が満場一致・・・といことは、めったにない。
それでも決断しなくてはならなかったり、想いを共有しなければならない。

その場合、どうすればいいのか?

このコラムの最後にお話しますが、
「今回は、自分の意見は通らなかったけど、意見も言えたし理解も示してくれた・・・」
自分の考えとはちょっと違うけど、とりあえずやってみよう!

という感じで合意形成できれば、会議の良い終わり方といえる。

会議には様々な種類がある。

「連絡・確認会議」「調整会議」「企画会議」「意思決定会議」「合意形成会議」「問題・課題解決会議」など、複数人で話し合い、共通の成果や価値を生み出すために話し合ったり、アイデアや意見を出し合ったりする。
しかし、意見やアイデアは愚か、上司の意思を伝えるだけの会議になっていたり、特定の人が勝手に決めているだけの会議が多いのはとても残念なことだ。

普段、こんな会議にモヤモヤしていませんか?

●特定の人しかしゃべらない(しゃべれない)
●発言できる雰囲気ではない
●発言すると担当者にされてしまう
●どうせ言っても・・・・・・!?
●結局、上司の意見しか通らない
●納得のいく結論になったことがない
●最初から結論が決まっている
●そもそも会議が楽しくない、苦痛に耐える時間になっている

これでは、アイデアも出ないし、
会議終了後には、「あいつが勝手に決めやがって・・・」「俺は反対だから!」
など、不満が蔓延し、納得感のある会議にはならない。
企業の最大の目的の一つとして「業績アップ」ということがある。
人材を育て、業績を上げるためにも、会議は建設的で実り多いものでありたいもである。

実り多い会議にするには、どうすればいいのでしょう?

会議の進め方には、一定の法則があり、創造的な会議の場をつくるための「ファシリテーター」が会議を進行していく必要がある。
ファシリテーターが、中立な立場で進めていけば、皆が納得感のある会議ができ必ず成果を生み出し、
価値を創造する会議になる。

特定のファシリテーターがいない場合と、いない場合では、
ファシリテーター役の人が一人いるだけでも結果は全く違うものとなる。

ファシリテーターとは、組織やチームなどにおいて、中立な立場で会議の進行をサポートするファシリテーションを行う者を指す。一般的に「容易にする」「促進する」などの意味があり、意思決定などには関与せず、参加者の意見や思いを引き出しまとめ、合意形成に向けて場をコントロールするスキルを持ってファシリテーションを行う人をファシリテーターと呼ぶ。

 

会議を進める際、私の場合、以下の4つのフレームに分けて会議を進めている。
俗に、「会議の4段階」という方もいらっしゃいます。

では、それぞれのフレームを見ていこう。

1、共有

このフレームでは、今日の会議は、何の会議で何を決めたいのか?
特に、1回目の会議では、なぜこの会議を行うのか?など、会議の趣旨を全員で共有しておくことが必要である。ここを外すと、会議そのものが“トンチンカン”なものになる可能性がある。

2、発散

このフレームでは、意見やアイデアを沢山出してもらう。
もっと言えば、このフレームは、意見やアイデアを出してもらうためだけの時間に使う。
ここで、必ずやっておくことは、全ての意見やアイデアをホワイトボードに書き出して、全ての意見を検討の土俵に乗せます。ホワイトボードがない場合は、A3用紙などを使って書き出しておくとよい。
書き出すことによって、議論の見える化になり、途中参加のメンバーにも流れを説明しやすい。

ここで注意しておくことが3つある。

①否定しない
自分の考えと違う意見や、納得のいかないアイデアも出ますが、ここでは、否定せずまず受け入れて公平に検討の土俵に乗せる。ここで、否定してしまうと会議が止まってしまうだけでなく、その意見を言った人は、次からしゃべらなくなり会議に参加する意欲がなくなってしまう。

②評価しない
アイデアや意見を出している途中で、意見の評価をしてしまうことがよくある。
「いいと思うけど予算が出ない」「いいと思うけど誰がするの?」「必要だと思うけど優先順位は低い」など、ここで、意見の評価をして、出来ない理由を述べてしまうと会議が止まってしまうだけでなく、その意見を言った人は、次からしゃべらなくなる。

③思いっきり膨らます
出てきたアイデアや意見をもとに、「こんなことができるかも?」とか「こんなことが出来たらいいですね」など、アイデアや意見がどんどん発展していくことがある。これは、決して悪いことではない。場の雰囲気がよくなり活発に意見が出やすくなっている証である。しかも、アイデアがどんどん発展していくと、目指すゴールがイメージできるきっかけにもなる。時々、必要以上に脱線する場合は、ファシリテーターが元の議論に戻す必要があるが、アイデアをどんどん膨らまして、会議の場を活性化しよう。

3、混乱

このフレームでは、これまで出てきたアイデアや意見を元に、結局どうするか?を決める段階である。
ここでは、議論の軸を決めていく。

(例)軸には、こんな項目がある。
数字・・・予算、人数、数量、距離、etc
期間・・・期限、日程、曜日、時間、etc
場所・・・どこで実施するのか?、etc

例えば、

社員旅行の行き先を決めるのであれば、予算なのか距離なのか日数なのか?何がしたいか?
期間であれば、日数なのか時間なのか?
その他にも、優先順位、緊急度、そこに割ける人数や時間など
何を基準に考えるのか?を私の場合、議論の軸と呼んでいる。

また、会社やプロジェクトの方針を決める場合は、「このストーリーでコンセプトに合っているか?」など、議論の軸は沢山あり、何を議論しているのかによって、軸は変わってくる。

ここで、新しい意見やアイデアが出るケースが多くあり、
共感を得られる意見は、積極的に取り入れるとよい。

4、収束

このフレームは、最終的に、何かに決定して、皆に合意を得るフレームで、合意形成のためには、極めて重要なフレームとなる。誰かが勝手に決めて、勝手に会議を終わるのであれば、合意形成はできない。ここでは、面倒かもわからないが、全員に「これでいいかどうか?」「他に補足や意見はないか?」など、全員から意見を求めることにより、「自分も意見が言えた」という締めくくりができる。

全てに共通して注意することが一つある。

それは、全員にしゃべってもらうこと!

特に「2、発散」では、全員から意見をだしてもらうよう、ファシリテーターは、配慮しよう。
「3、収束」でも、折に触れて、指名して意見を引き出し、「4、収束」でも同じように、全員に確認しよう。

全員にしゃべってもらうと、「今回は、自分の意見は通らなかったけど、自分も意見が言えた」という納得感が生まれる。これにより、特定の一部の人が勝手に決めたのではなく、みんなで決めたという暗黙の感覚が生まれ「自分の意見は通らなかったけど、まあ、やってみようか!」という感じで、納得感のある会議の終わり方ができる。

この進め方で会議を行えば、建設的で実りある創造的な会議が実現できる。
ただ、ファシリテータースキルが必要になるため、企業として人材教育が必要ですが、社内にこのスキルを持った人材がいれば、社内のコミュニケーションも活性化し、風通しのいい組織になることは間違いない。

 

会議は、終わり方が重要

会議の終わりによくある光景として「A案、B案、C案とありましたが、A案に決定しようと思います。」「よろしいですか?」「他に何かありませんか?」「無いようなのでA案に決定します!」こんな光景に見覚えはないだろうか。

一般的によくある光景だが、実はここに落とし穴がある。「何かありませんか?」と言われても、何かあっても言える雰囲気ではないし、そもそも発言の機会が無かったのにA案になってしまった。

「別にいいけどね!」と内心で思っているケースは非常に多い。

ここは、ファシリテーターが全員から意見を引き出し全員の総意としてアウトプットするようにしなければならない。

全員が同じ意見ではないかもわからないが「今回、自分のB案は通らなかったが、しっかり意見も言えた」「理解もしてもらえた」「とりあえずA案で頑張ってみよう!」

こんな感じで全員の合意形成ができる終わり方が重要である。

この時ファシリテーターは、事前に自分の考える落としどころを用意しないことをお勧めする。

ファシリテーターが事前に落としどころを用意していると、そこに向かって強引なリードになり、出来レースのような会議になってしまう可能性があり、参加者は敏感に察知し抵抗したり発言やアイデアを出す意欲を無くしてしまう可能性がある。ワークショップや会議は生き物である。その場で気付き、気付かされ、参加者全員でゴールに向かうためにファシリテーターは中立に参加者の考えを引き出しまとめることが重要である。

創造的で合意形成が得られる会議にするために、最初の準備が重要である。

・会議の目的
・どんな成果が欲しいのか
・何かを決定したいのか
・決定に至らなくても方向性を共有したいのか
・どんな背景でこの会議を行うことになったのか
・参加者は、どんな人が参加するのか
・などなど

創造的な会議にするために、様々な準備と会議のプロセス設計が必要となる。
自社でファシリテーターを育成することが理想だが、すぐにこなせるものでもない
コンサルタントにファシリテーターを担ってもらうのも一つの方法である。